コロナ禍の海外渡航「リスクを正しく知る」 サッカー選手のコロナ体験談

コロナ禍の海外渡航「リスクを正しく知る」 サッカー選手のコロナ体験談

 

2021年10月6日の夕方頃、私は外出先で「鼻水」や「鼻詰まり」が気になり始めました。

 

  • 「鼻水が止まらないな。疲れが溜まっていたから少し風邪でも引いたかな?」
  • 「それとも、アレルギー性鼻炎の症状が出てきたかな?」
  • 「ワクチンは2回打っているし、コロナでは無いだろうな。」

 

その当時、自分が後に大変な思いをすることは全く想像もしていませんでした。

しかし、3日後に受けたPCR検査の「陽性」の判定により、コロナ禍における海外渡航の様々なリスクを、身を持って体験することになるのです…。

※当時の私の頭の中のイメージです。

 

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今回のブログでは、コロナ禍における海外渡航の「リスク」を、少しでも多くの人に知ってい欲しいと思い執筆しました。

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  • これから海外リーグへの挑戦を検討しているサッカー選手
  • サッカー選手に限らず、海外への渡航を計画している人
  • 「自分はコロナに罹らないだろう」と思っている人

 

上記に該当する方は、目を通してほしいと思います。

 

決して、あなたを脅したい訳ではありません。

コロナ禍における海外渡航のリスクや、コロナウイルスにまつわることを「正しく知る」ことが、自分の身を守ることにも繋がるからです。

滞在先であったモンゴルにて、コロナウイルスに罹った私自身の体験をもとに、詳しく説明していきます。

 

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※ブログの内容は2021年10月の出来事です。今後のコロナ関連の各種対応については、状況が変わる可能性が大いに考えられます。

※私自身のコロナ感染にまつわる体験談ですが、あくまでも一例としてお受け取りください。

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コロナ陽性までの経緯

 

モンゴルのチームと契約していた私は、2021年8月上旬に現地へ渡航。その後、同年10月3日までシーズンを戦い抜き、10月10日のフライトで日本に帰国する予定でした。

しかし、10月6日に「鼻水」「鼻詰まり」の異変を感知。

翌10月7日、念の為にコロナウイルスの簡易キットで検査をすると、「陽性」を示しました。

※簡易キットが陽性を示す。陰性の場合は「C」だけに縦線が入り、陽性の場合は写真のように「T」にも縦線が入る。このキットの正確性は95%とのこと。

 

 

日本へ帰国する際に「陰性証明書」が必要な為、10月8日に現地病院でのPCR検査を元々予約していたので、予定通りに検査を受けました。

その結果も「陽性」を示したので、私はコロナウイルス陽性者となりました。

2021年10月現在、モンゴルではコロナウイルスが流行しています。その為、軽症者は入院出来ずに自宅待機となります。

 

※モンゴルの首都ウランバートルにあるインテルメッド病院では、ドライブスルーのような形式でPCR検査を受けることが出来ます。車内からの風景。

 

2021年10月26日現在、モンゴルの合計感染者数35万人、死亡者1,660人。

参考:モンゴル国の全人口は327.8万 (2020年)。おおよその計算だと、約1/10人はコロナウイルスに感染したことになる。

※引用:REUTERS

 

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コロナ発症 – 陽性判明までの経緯

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  • 10月6日:「鼻水」「鼻詰まり」の異変を感じる
  • 10月7日:簡易キットで陽性反応。夜から「倦怠感」「頭痛」が始まる
  • 10月8日:PCR検査受診。昨夜の症状に加えて「咳」「味覚障害」「食欲低下」「息苦しさ」が始まる
  • 10月9日:コロナ陽性判明。「倦怠感」「頭痛」がひどくなる。※症状のピーク

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帰国にまつわるトラブル

 

私自身が体験した、帰国にまつわるトラブルを紹介します。

 

 

①航空会社への連絡

 

本来であれば、10月10日(日)のフライト(運営会社:MIATモンゴル航空)で、モンゴルから日本への帰国を予定していましたが、コロナ陽性が正式に判明したのは渡航予定の前日だった10月9日(土)。

まずは、「フライトのキャンセル」「別日のフライトへ変更」が必須でした。

 

私が購入したチケット(日本 – モンゴル)の金額は、片道で約5万円連絡できなければ水の泡に…(一般的な金銭感覚の人なら無駄にしたくないですよね)。

2021年10月現在、モンゴル-日本の運行状況はコロナウイルス感染拡大の影響を受けて、臨時便しか渡航していません(月に3〜5往復のみ)。

そのため、フライトの予約やキャンセルは直接航空会社へ連絡する必要があります。

 

 

しかし、予約の連絡をしていたMIATモンゴル航空の日本オフィスは、土曜と日曜は窓口が休日のため連絡が取れません。

私はすぐにモンゴル本社へ直接連絡し(会話は英語が通じました)、教えてもらったキャンセル業務を専門に扱う電話番号に連絡。

しかし、その番号に何度も入電しましたが一切繋がりません(さすがモンゴル…)。

 

MIATモンゴル航空のHPに記載されている全ての電話番号に連絡をするも、キャンセルの連絡が出来ないまま、時間だけが過ぎていきます(この時、体調はすこぶる悪かった…)。

そこで、現地のHISで働いている日本人の方に連絡。事情を説明し、MIATモンゴル航空の別の連絡先をゲット。

しかし、またも電話は繋がらない…(涙)。

 

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予約フライトのキャンセルをする場合、渡航前日の15時まで(私の場合は10月9日の15時まで)に連絡をする必要がありました。

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その後も必死に連絡を入れ続けると、タイムリミットの1時間半前にようやく電話が繋がり、なんとか無事にフライトのキャンセルをすることができました。

 

最初に電話をかけたのが9時頃だったので、1本のキャンセル連絡を入れるためだけに「約4時間半」も格闘していたことになります。

当時は体調が一番悪かったので、この電話作業に相当疲弊しました(精神的にもしんどかった)。

 

 

②新たなフライトの予約

 

次の問題は、新たな「チケットを予約」することです。

前述した通り、モンゴル-日本の運行状況は月に3〜5本のため、チケットの入手が難しい状況。

元々予約していたチケットも1か月前から予約して入手したもので、8月に入国した際のチケットも一苦労して入手したものでした。

 

このような状況のため、私が入電した際(10月9日時点)で、10月中のフライト(10/20・10/29の2便)は全て「キャンセル待ち」で入手するしかありませんでした。

 

結果的には、10月20日(水)モンゴル(ウランバートル)-日本(成田)のチケットを渡航5日前にゲット。

運良くキャンセルが出たので入手することができました。

 

 

③PCR検査の偽陽性

 

大変幸運なことに症状は少しづつ治り、10月15日には自宅隔離を終了することができました。

 

※現在モンゴルでは…

  1. 無症状者:検査日から8〜10日間の自宅療養。
  2. 有症状者(軽症):症状発症から8〜10日間の自宅療養+過去24時間以内に解熱剤等を服用せずに発熱がなく、咳や息切れが改善されていること。

以上の条件で自宅療養を終了できる。(私は②に該当)

 

しかし、ここで1つの問題は、PCR検査で「偽陽性」になる可能性があったことです。

 

 

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※偽陽性とは…

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文字通り、「偽」の陽性反応が出てしまうこと。

PCR検査で偽陽性が出てしまうのは、検体のなかにコロナがわずかでも含まれていると、検査機器が陽性と判定してしまうからです。

わずかな数のコロナで陽性と判定することはよいことのように思えるかもしれませんが、そうではありません。

 

例えば、1個のコロナが体内に入っただけなら、「コロナに感染した」とはいいません。感染症には、何個のウイルスが体内に入ったら感染したとみなす「最小発症菌数」という考え方があります。

体内のコロナの数が最小発症菌数以下なら感染したことにならないので、その状態で陽性と出ればそれは偽陽性となります。

 

PCR検査では、検体のなかのコロナを増殖させてから測定するので、偽陽性が出る可能性は十分あります。

しかし、だからといって検体のなかのコロナを増殖させずに測定すると、今度は、最小発症菌数に達している人の感染を発見できなくなってしまいます。

 

※引用:ヒロオカクリニック・コラム https://www.h-cl.org/column/pcr-false-positive/

 

 

 

海外から日本に入国する際は「出国前72時間以内の検査証明を取得すること」が、条件の1つです。

これは、国籍に問わず全ての人が対象になりますので、日本国パスポート保持者も例外はありません。

 

 

※詳細は厚生労働省のHPに記載されています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19_qa_kanrenkigyou_00001.html

 

 

仮にPCR検査で陽性(偽陽性)となった場合、コロナが完治していても日本には帰国出来ないことを意味しています。

 

私は病院から正式に発行された「治癒証明書」を所持していましたが、この書類は何も意味をなさないようで、日本への入国に関しては「PCR検査における『陰性証明書』が有効な書類」となります。

※厚生労働省に電話でも直接確認しました

 

人によっては偽陽性の反応が数ヶ月間も出てしまうことがあるようですが、海外でコロナに感染してしまった場合、PCR検査で陽性(偽陽性)の反応が出る限りは日本へ入国できません。

どんなに体調が良く、他人にウイルスを移す可能性が0であっても、PCR検査の結果が「陰性」にならなければ日本には帰国出来ないのです。

このようなリスクがあることを、身をもって体験しました。

 

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10月18日に受けたPCR検査で陰性だったため、私は無事に10月20日に帰国することが出来ました。

検査結果が出るまで本当に不安でした。

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もし、偽陽性で帰国出来ない場合、ビザ住居の問題も付随してくるでしょう。

 

私の場合、本来であれば10月10日に帰国予定だったので、契約して暮らしていたアパートも同日(10月10日)までの契約でした。

今回の場合、チームのマネージャーが部屋のオーナーと上手く話を付けてくれたので、私は幸運にも同じ部屋に住み続けることが出来ました(ビザに関しても同様にマネージャーが問題を解決してくれました)。

 

このように、様々な問題が付随して生じる可能性があります。

 

 

④海外一人暮らし

 

帰国という観点からは少しズレますが…

私は一人暮らしだったため、他人にウイルスを移すリスクを抑えられることは良かった点です。

 

しかし、もし療養中に容態が急変した場合のリスクを考えたときは、とても恐怖を感じました。

 

  • 「海外で言葉が通じない」
  • 「助けを求めるにも誰に言えばいいのだろうか」
  • 「そもそも、言葉を発せないぐらい体調が悪くなってしまった時はどうしよう」

 

体調が悪かったことも重なり、ついネガティブなことばかり考えてしまいます。

 

 

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そこで、「もしも…」ということがあった時の為に、「連絡をする人」を事前に3人決めました(モンゴル現地に居る人)。

更に、日本に住んでいる妻にも、「朝・昼・夜 にLINEで連絡する」ことに決めました。

もし連絡が取れなくなった時(私の容態が悪化してしまった可能性ありの時)は、事前に決めていた3人の誰かに連絡をしてもらうようにしました。

 

また、現地の日本大使館にも連絡を取り、緊急事態に備えるようにしました。

※日本大使館の方はとても丁寧に対応していただき、大変助かりました。本当にありがとうございます。

 

 

もちろん、何もなければ問題ありませんが…

 

他のチームに所属していた日本人サッカー選手が、私よりも数週間前にコロナに感染し、容態が急変してしまったことを事前に聞いていました。

結果的にその選手は無事だったそうですが、容態が悪化した当時は病院に搬送されたとのこと。

そのような事例を聞いていたこともあり、「もしも…」の時の準備は怠らないようにしました。

 

 

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私は容態が急変したり重症化もせず、結果的には無事に回復して良かったです。

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コロナ感染で分かったこと

 

コロナウイルスに感染して、身を持って分かったことをまとめました。

 

 

①症状

 

私は2回のワクチン(ファイザー製)を接種し終えていましたが、コロナに感染しました。そして、軽症ではありましたが体調も悪くなりました。

 

具体的な症状

  • 倦怠感(高熱ではないが熱もあった。37℃ぐらい。)
  • 頭痛
  • 鼻水(一番最初に発症し、最後まで治りが悪かった)
  • 鼻詰まり(上記同様)
  • 咳(肺が苦しい)
  • 食欲低下
  • 味覚障害

 

ワクチンを打っていたにも関わらず、体感的には「結構しんどかった」というのが正直な感想で、もしワクチンを打っていなかったら、もっと症状が酷かった可能性もあります。

 

 

②精神面的な辛さ

 

体調が悪いことも辛いですが、一番は「精神的」に辛かったです

隔離中はもちろん一人なので、誰にも会うことができません。

 

  • 「本当に帰国できるのか」
  • 「重症化したらどうしよう」

 

様々な「不安」に駆られながら、部屋の中で過ごす日々はかなり辛かったです。

 

 

③アスリートとしての辛さ

 

私は一応サッカー選手なので、体が資本です。

ようやく回復して、最近身体を動かし始めましたが、心肺機能や筋力の低下を著しく感じます。

率直な感想は、「正直オフシーズンで良かった」と思っています。

 

もちろん、人によって症状は様々なので一概には言えませんが、シーズン中に罹ってしまった場合は、競技復帰するためには相当苦労すると思います。

 

 

④後遺症

 

私の場合、「味覚(風味)」が未だに回復していません(後遺症についても、人によって様々ですが…)。

具体的には「コーヒーの味がしない」ことです。

10月6日にコロナを発症したと仮定すると、この記事を書いている10月26日現在もコーヒーは味がしないので、20日経っても回復していないことになります。

私はコーヒーが大好きで毎日飲んでいたので、とても辛いです。切実に早く治って欲しい…(日常生活の些細な楽しみを奪われることが、意外にも大きなストレスになるとは思ってもいませんでした)。

 

また、日本に帰国してから気づいたのは、「乳製品の後味が以前と違う」ことです。

言葉で説明するのは難しいのですが、感染前には感じたことのなかった「不快感」が少々あります。

てっきり「モンゴルで飲んでいた牛乳が変な味がしている」と思い込んでいたのですが、日本に帰国してから飲んだ牛乳やヨーグルトも同じ不快感があるので、もしかしたらコロナの後遺症が残っているのかもしれません。

 

 

リスクを正しく知ることの重要性

 

以上のように、コロナウイルスに感染することで様々な問題が生じます。

そして、その人の置かれている立場によって、問題の種類が少し異なります。

私の場合は、海外渡航先から帰国する直前に感染しました。

 

サッカー選手だけに限らず、国境をまたいで仕事をしている人、コロナ禍での旅行を計画している人等にとって、今回の体験談が少しでも参考になれば幸いです。

 

  • ・予定通りに帰国できなくなる
  • ・コロナ感染に付随してビザや宿泊の問題が生じる
  • ・コロナ感染後の対応が日本とは違う

などのリスクが生じます。

 

これらを事前に正しく理解しておくことが、感染してしまった時のリスク回避に繋がるでしょう。

 

※隔離期間が空けて初めて外出した際に撮った1枚。青空がいつも以上に気持ちよかったです。

 

 

コロナ感染 – 回復までの時系列

 

最後に、私のコロナ感染にまつわる出来事を時系列にしてまとめました。

 

  • 10月6日:「鼻水」「鼻詰まり」の異変を感じる
  • 10月7日:簡易キットで陽性反応。夜から「倦怠感」「頭痛」が始まる
  • 10月8日:PCR検査受診。昨夜の症状に加えて「咳」「味覚障害」「食欲低下」「息苦しさ」が始まる
  • 10月9日:コロナ陽性判明。「倦怠感」「頭痛」がひどくなる。※症状のピーク
  • 10月10日:若干の回復傾向。しかし、「倦怠感」「味覚障害」「咳」「鼻水」「鼻詰まり」は継続。※当初の帰国予定を断念。
  • 10月11日:「倦怠感」「咳」「鼻水」「鼻詰まり」の症状が少しづつ治まる。
  • 10月12日:前日の症状から大きな変化無し
  • 10月13日:咳が治って肺が楽になる。倦怠感も無し。少量の「鼻水」。
  • 10月14日:少しづつ鼻水の症状も落ち着く。味覚もほぼ回復したが、コーヒーの味がしない。
  • 10月15日:ほぼ回復。コーヒーの味はしないまま。
  • 10月16日:問題なし(コーヒーは✕)
  • 10月17日:問題なし(コーヒーは✕)
  • 10月18日:PCR検査受診。陰性を示す。
  • 10月19日:問題なし(コーヒーは✕)
  • 10月20日:日本に帰国。入国時のPCR検査も陰性。

 

 

About The Author

大津 一貴
夢を諦めて一般企業へ就職するも、22歳でがんを患い生き方を改める 。その後、脱サラして海外でプロサッカー選手に。モンゴル1部・FCウランバートル所属。1989年10月25日生まれ、北海道出身。

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