大津一貴 オフィシャルブログ『Special One』

青森山田高校出身の僕が、あえて選手権に苦言を呈してみる

 







この記事を書いている人 - WRITER -
・脱サラ海外リーガー(プロサッカー選手) ・癌サバイバー 2018年現在、モンゴル1部のFCウランバートル所属。 1989年10月25日生まれ、北海道札幌市出身。 ■当ブログのコンセプトはこちら ■詳しいプロフィールはこちら ■お問い合わせはこちら

僕の母校である青森山田高校の優勝で幕を閉じた、今年の全国高校サッカー選手権大会。

今大会で97回を数える、歴史と伝統のある大会です。

日本サッカーの歴史を語る上で、外せない重要な大会の1つであります。

先にも述べたように、僕自身も2007年度の選手権に青森山田高校で出場しました。

ただ、初戦で負けたこともあり、僕自身の選手権はたった10分間で幕を閉じました。

そんな選手権に、高校サッカー出身の僕が、あえて苦言を呈してみます。

少しでも、選手権という大会が日本サッカーの発展に繋がることを信じて…。

優勝し、胴上げされる黒田監督(僕の時代は監督であり担任だった)

※出典:Yahooニュース

 

”国立”を目指す時点で、世界との差は埋まらない

 

「選手権の為に、高校三年間の全てを捧げろ」

 

高校へ入学した際のミーティングで、監督から掛けられた言葉です。

この台詞は監督のみならず、スタッフ全員から、事ある毎に口酸っぱく言われ続けました。

きっと、他の高校サッカー部(特に強豪高と言われるチーム)でも、同ようなことを言われていたと思います。

なぜなら、全ての高校生にとっての聖地は国立であり、全ての高校生にとっての憧れの場所だからです。

”選手権”が高校サッカーの全て。

当時の監督やスタッフ陣が言っていたことは、間違いではありません。

 

 

しかし、この思考は物凄く危険な考え方ではないでしょうか。

 

子供達にとって、高校生活はたった3年間のみ。

しかも、サッカーの育成という視点から見ると、15歳~18歳という年齢はプロサッカー選手になるためにとても重要な時期です。

この大切な時期に、選手権優勝を目指して良いのか。

僕は、少し違うと思います。

詳しく説明します。

 

 

”ワールドカップ優勝するには?”

という視点で考えてみます。

 

仮に選手権で優勝すれば、スタメン全員がプロチームに入れる保障があるのであれば、絶対に選手権優勝を目指すべきです。

それが、プロサッカー選手への近道だからです。

しかし、高校サッカー選手権での優勝が、プロサッカー選手への道に直接しているわけではありません。

大会に参加した選手でプロになるのは、ほんの一握りの選手だけです。

子供達が3年間をかけて目指す場所は、日本の高校生のみ、しかもクラブチームは参加しない、カテゴリー別のアマチュア大会です。

それが、日本の高校サッカー選手権。

 

 

一方、同じ年代の海外の選手達と比べてみましょう。

例えば、同じ15~18歳のバルセロナのユースに所属する選手。

おそらく彼らの目指す場所は、選手権のような、国内の同年代同士の大会でのチャンピオンではありません。

彼らは、トップ昇格を目指してトレーニングをしています。

それは、年齢制限など関係なく、世界中の超一流プレーヤーたちが集まる、世界最高峰と言われるのチームへの入団と活躍を真剣に目指していることを意味します。

 

 

バルセロナのユースに所属する選手たちは、15歳で真剣にカンプノウを目指してトレーニングしています。

一方、日本の15歳の選手たちは、高校入学と同時に国立を目指してトレーニングをします。

 

世界No1と称される場所を目指してトレーニングする。

日本の高校年代No1を目指してトレーニングをする。

 

この差は、とてつもなく大きいです。

 

もし、本気でワールドカップ優勝を考えた場合、目指す場所は国立ではなくカンプノウです。

世界最高峰を目指さなければ、世界一はあり得ません。

高校に入学した15歳の選手が国立を目指す時点で、すでに世界との差が生まれています。

 

これが「選手権の為に、高校三年間の全てを捧げろ」という思考が危険だと、僕が主張する理由です。

※出典:サッカーダイジェストWeb

スポンサーリンク



選手権でサッカーを辞めてしまう子供たち

 

僕の周りでは、高校サッカーで燃え尽きて、サッカーを辞めた選手がとても多いです。

技術や才能があったにも関わらず、非常にもったいないサッカーの辞め方をした選手がとても多い。

その理由は2つ考えられます。

 

1つ目は、メディアの報道。

選手権は、多くのメディアが注目する大会です。

試合で活躍すると、その選手は新聞やテレビでヒーローのように扱われます。

まだ、アマチュアの選手でもあるにも関わらず…です。

「大迫半端ないって!!」も、選手権絡みのメディアから生まれた言葉です。

それだけ影響力のある大会が、この選手権という大会。

そして、お涙頂戴の定番である「最後の○ッカールーム」。

(高校野球の熱闘甲○園も一緒ですね。)

「試合に負けたら、これが最後…」みたいな風潮を、97回の歴史と共にメディアが作り上げてきました。

「高校3年間の全てをかけろ!」を助長し、その大会に出場することだけで人生最大の価値があるように思われます。

そして、その大会が終わる時にプロになれなければ、本気のサッカーは終わり。

そう考える選手が多いのが事実です。

 

しかし、サッカー選手はどこで自分の能力が伸びるか分かりません。

例えば、ワールドカップ歴代得点王である、元ドイツ代表クローゼは、国内の7部リーグからキャリアをスタートさせた苦労人。

最近では、元イングランド代表のヴァーディーが、国内の下部リーグから奇跡のステップアップを果たして活躍をしたのが有名です。

彼らのように、選手はいつどこで日の目を浴びるか分かりません。

それなのに、日本の高校生のように18歳で全ての選手を天秤に掛けるのは、少し早すぎるのではないでしょうか。

 

 

高校で燃え尽きてサッカーを辞めてしまう2つ目の理由にも繋がってきますが、そのような選手達が卒業後にプレーをする場所が少ないという点も、問題だと考えます。

高校卒業後にプロになれない選手が、本気でプロを目指す場合には、「大学へ進学しなければならない」というのが、一般的な考えです。

大学の体育会サッカー部に入部し、高校時代のように部活でもう一度プロを目指す。

この流れに乗るのが、日本では一般的な道です。

しかし、高校時代と同じように沢山の部員が居る中で、また試合に出れるかどうかも分からない状況下に身を投じるのは、サッカーが嫌になって燃え尽きてしまうのも理解できます。

 

例えば今回の決勝戦、青森山田高校の部員数は約170人も居るそうです。相手の流経大柏高校も同じぐらいの部員数が居ます。

ということは、お互い約150人くらいの試合に出ていない選手たちが、あの輝かしい舞台をスタンドで観戦していたことになります。

敗退していったチームを含めると、選手権の舞台に立つ権利がある高校に所属しているにも関わらず、試合に出れない選手の人数はとても多い数字になります。

仮に、スタンド応援に回った人数を1チーム100人とすると、参加チームが48校なので、全国に出たチームに所属したにも関わらず、試合に出れなかった選手の人数は4800人となります。

 

3年間を犠牲にして試合に出れなかった悔しい想いをした選手が、また更に4年間を犠牲にする勇気を持つことは、なかなかできることではありません。

しかし、これだけの人数が居れば、その中にはクローゼやヴァーディーのようになる可能性のある選手が、今回の選手権のスタンドで応援していたかもしれません。

もしプロサッカー選手を目指したいのであれば、大学進学だけが進路ではないこと、子供達に1つの選択肢として他の道もあることを伝えること、それも大人の役割ではないでしょうか。

 

例えば、日本の社会人リーグ。

JFLのみならず、現在は地域リーグ等でも力を入れているチームが沢山あります。

チーム側も、積極的に高卒の選手を受け入れる体制を整えてあげる環境作りが大切ではないでしょうか。

 

また、海外挑戦という選択。

海外というフィールドに立つことで、実力さえあれば日本以上にプロへの道が開かれています。

海外チームへの入団を斡旋する会社や代理人等が、もっと積極的に高卒の選手をサポートする体制を整えても良いのではないでしょうか。

 

というように、サッカーをする環境は大学の体育会サッカー部だけではありません。

それこそ、この事実をメディアがもっと積極的に取り上げるべきだと思います。

高校卒業後、海外挑戦している選手や、社会人リーグで戦う選手の特集などを組んでみてはいかがでしょうか。

高校サッカー最後のロッカールームの様子だけではなく、その後の新たな道で活躍をする方法を伝えてあげることが、日本のクローゼやヴァーディーを発掘することに繋がるでしょう。

 

また、真剣勝負の試合をするだけがサッカーではありません。

サッカーを通じて、年齢性別を超えた大会を主催したり、子供への指導もあるし、フットサルやビーチサッカー等もあります。

好きなサッカーに関わることは、自分がプレーするだけではありません。

色々な関わり方があっていいと思います。

その多様性が、いまのサッカー界には必要ではないでしょうか。

※日本の大学に進学するだけが進路ではない

 

選手権の価値

 

ここまで、色々と苦言を呈してみましたが、上記のようなことを考えたきっかけは、選手権という大会が連日ニュースになっていたからです。

ましてや、自分の母校が優勝。

注目せざる終えません。

 

そして、この選手権をきっかけに、高校時代の同期と連絡を取り合ったり、その中でお互いの近況を報告しあったりしました。

また、選手権をきっかけに青森山田絡みのネタで、同じ高校ではない方々との交流も生まれました。

様々な人との交流を深めるきっかけになりました。

 

サッカーの大会という枠を超えた価値が、選手権という大会にはあると思います。

 

選手権を優勝をするために全力を尽くした僕の後輩たちには、年齢も離れているし、顔も合わせたことが無いけど、とにかくおめでとう言いたいです。

また、その選手達を支えたスタッフの皆さんには、改めて感謝の気持ちで一杯です。

ありがとうございます。

きっと、選手権が続く理由は、サッカーの大会という枠を超えた価値があるからだと思います。

 

だからこそ、もっとこの大会が日本サッカー界の発展に役立つように、自分の意見をぶつけてみました。

この場で発信したところで、何かが大きく変わることは無いかもしれないです。

ですが、10年前にたった10分だけ選手権の舞台に立った一人の選手が、いま思っていることを発信することで、0.001ミリでも良い方向に選手権が発展してくれれば本望です。

きっと、これからも選手権が日本サッカー界の発展には重要な鍵を握っているので。

 

気力・迫力・全力!!!

で、僕自身もこれから戦い続けます。

※たった10分で終わった、憧れの選手権の舞台。この時の悔しさが、今の自分を突き動かす原動力の一部である。

 

大津一貴

この記事を書いている人 - WRITER -
・脱サラ海外リーガー(プロサッカー選手) ・癌サバイバー 2018年現在、モンゴル1部のFCウランバートル所属。 1989年10月25日生まれ、北海道札幌市出身。 ■当ブログのコンセプトはこちら ■詳しいプロフィールはこちら ■お問い合わせはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

Copyright© Special One , 2019 All Rights Reserved.