大津一貴 オフィシャルブログ『Special One』

海外サッカーにおける給料未払いの実態と解決方法

 







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・脱サラ海外リーガー(プロサッカー選手) ・癌サバイバー 2018年現在、モンゴル1部のFCウランバートル所属。 1989年10月25日生まれ、北海道札幌市出身。 ■当ブログのコンセプトはこちら ■詳しいプロフィールはこちら ■お問い合わせはこちら

こんにちは、大津です。

僕は先日、下記のツイートをしました。

 

給料未払いの状況説明

2019年3月、僕はモンゴルリーグのFCウランバートルと1シーズンの契約を結び、1ヶ月に1度給料を貰う約束を交わしました。(昨年も同チームでプレーしていましたが、1シーズン毎に契約書を交わしました。)

しかし、シーズン途中から給料が支払われなくなり、結局シーズン終了時には4ヶ月分の給料が滞納されたままの状況でした。

何度もチーム側に支払いを求めましたが「待て」の一点張りで、話しが進展しません。シーズンのラスト1ヶ月間はチームのスタッフ陣と一切連絡が取れませんでした。

そして、自分だけではなくチームメート全員が、給料を受け取っていない状況でした。

というのが、今シーズンの自分を取り巻く状況。

今年は嫁と一緒に現地で生活していたし、家賃や光熱費、食費も全て自分の給料から支払っていました。

また、モンゴル人チームメートの中にも、生活に支障をきたすような選手がいました。

それでも、シーズン中は給料の未払いが解決しませんでした。

 

チームスタッフとの話し合い

まずは、チームスタッフに対して「なぜ給料が遅れているのか」を問いました。

いくら契約書を交わしたとはいえ、何か特別な理由が存在するかもしれません。(日本社会では考えられないかもしれませんが、海外ではこのようなことが起こる国やリーグがあります。)

初めの頃はもっともらしい回答が返ってきていたので、僕は「あなた達を信じて待ちます」と、伝えていました。

しかし、待てど待てど給料は支払われません。また、尋ねる度に回答の内容が変わってきました。(怪しい…)

僕も、チームのことを悪くは言いたくないし、合計3シーズンもお世話になったチームなので、チームを信じたい気持ちでいました。

しかし、結果として4ヶ月分の給料未払いとなりました。

時が立つにつれて、話し合いにもならない状況となったのは、前述した通りです。

※チームメート全員が給料未払いとなった

モンゴルサッカー協会へ提訴

チームとの話し合いでは事態が進展しないので、僕はモンゴルサッカー協会へ直接足を運びました。

そして、未払いの状況を事細かに説明できるよう、日本語を話せるモンゴル人の方に通訳として一緒に付いてきてもらいました。

モンゴルサッカー協会の副会長に事情を説明。

すると、「未払いを訴える状況を説明した書類を提出して。」と言われました。

その通りに、僕はすぐに書類を作成してサッカー協会に提出。

※モンゴルサッカー協会の入り口

 

ただ僕はこの時、サッカー協会のことを全く当てにしていませんでした。

というのも、今シーズンのモンゴルでは他のチームでも未払いが発生しており、僕より先にそのチームの選手達と監督がモンゴルサッカー協会に訴えていました。

そのチームは書類でも訴えていたし、それでも解決しないので”試合中に未払いを訴える”という行動まで起こしていましたが、モンゴルサッカー協会側は特に大きな動き無し。という状況でした。

※その時の試合の映像↓

このような行動を起こしても、特に大きな動きを示さなかった協会の姿を見ていたので、僕は協会を当てにせず、違う方法を模索しました。

 

FIFAへの提訴を検討

未払いの期間が2ヶ月目を過ぎたところで、僕は一度チーム宛にオフィシャルレターをメールで提出しました。

というのも…

給料未払い期間が2ヶ月を経過したタイミングで、チームにオフィシャルレターを提出し、そこから15日以内に未払いが解決しない場合はそのメールをFIFAに転送。その後、FIFA側が承認すれば、当初の契約期間内でも自分からチームを離れることが可能。

というルールが存在します。

正直なところ、給料が出てこないのでシーズン途中でチームを離れることも考えました。

しかし、このレターを提出したタイミングで、チームからは1ヶ月分のみ給料が支払われました

その結果、自分の意思でチームを離れるには、再度2ヶ月分の給料滞納のタイミングでレターを再提出するのを待たなければならない状況となりました。

この時は9月初旬の話しで、次のレター提出のタイミングまで待つと10月初旬。つまり、残りのリーグ戦期間は約1ヶ月のみとなります。(シーズンは10月一杯まで)

残り1ヶ月を残してチームを去るのは中途半端だし、未払いの状況にも関わらずチームを離れずに一緒に戦ってきたチームメートにも申し訳ないし、新たなチームが見つかる保障も無いし、移籍ウインドーが開かれてる国も限られていたし、何よりも途中でチームを辞める自分の姿を想像すると、とてもかっこ悪いと思いました。

結局、途中でチームを辞める選択はせずに、シーズン最後まで(当初の契約通り)戦うことを、自分の心に決めました。

そして、このタイミングではまだFIFAに提訴することは選択しませんでした。

”チームの一員として最後まで戦おう!”と決めたので、シーズンが終わるまではチームを信じて対応を待つ。という選択をしました。

 

Facebookへの投稿①

シーズンが終わりに差し掛かりましたが、結局未払いは解決方向には進まず…。

また、先にも説明した通り、最後の1ヶ月間はチームスタッフと一切連絡が取れませんでした。(スタッフ陣は試合にも来ていませんでした)

なので、顔を合わせて話すこともできず、そのままシーズン終了。

ビザの期限が迫っていたことと、借りていた家の契約期限もあったので、最終節の翌日に僕はモンゴルを離れました。(10月下旬)

※最終節終了後に自宅で僕のバースデー&送別会をしてもらい、翌日モンゴルを離れました

 

こうなると、更に連絡が取れません…。

そこで、僕はSNSを利用して給料未払いの状況を訴える。という手段を取りました。

モンゴルでは、Facebookがメディアとしての大きな役割を果たしており、個人の投稿でも多く拡散されると、良いことも悪い事も含めて一気に国民全体へ広がります。

その特性を利用し、チーム及びチームのスポンサー会社に対して、未払いを訴える内容をモンゴル語で投稿。

また、僕の周りのモンゴル人の方々には、多くの方に拡散されるよう事前にお願いしていました。

そして、一番SNSが見られる曜日と時間帯を見計らって、Facebookに記事を投稿。

 

結果、僕の投稿がオーナーの目に入り…

「11月15日までに支払うから投稿を消せ」

という内容の連絡が、僕の元に届きました。

 

投稿を公開していたのは数時間でしたが、既に多くの”シェア”と”いいね”が押され、僕の当初の目的は達成していましたので、言われた通り投稿を消しました。

あとは、チームを信じて待つだけでしたが…

 

Facebookへの投稿②

結局、11月15日を過ぎても支払われることはありませんでした。

そのまま11月下旬に差し掛かります。

その期間も、何度かチームスタッフへ連絡しましたが一切反応無し。

ということで、12月に入ってからもう一度Facebookに未払いを訴える内容を投稿。

2回目の投稿でも、多くのモンゴルの方々がシェアしてくれてました。

その結果、今回はチームのスポンサー会社の重役の方から連絡がきました。

「給料を支払うから投稿を消してくれ」と。

しかし、前回のこともあるのですぐには投稿を消しませんでした。

その間にも投稿はシェアされ続けており、スポンサー側の人達は大変都合が悪くなります。

”給料を支払わない会社”というレッテルが貼られ、モンゴル国内での評判が悪くなれば、売上にも直接影響するからです。

そこで僕は、連絡を送ってきたスポンサー会社の人と以下の約束をしました。

・チームメート全員の未払い分の給料を支払うよう、チーム側へ今週中に必ず準備させること(その連絡のやり取りを行っていた週)。

・3日以内にチームとスポンサー会社でミーティングをすること。その内容を必ず大津に報告すること。

・もし1つでも約束を破った際は、もう一度Facebookに投稿する。

という内容の約束を取り付けて、僕はFacebookの投稿を消しました。

その後、ずっと連絡が取れていなかったチームスタッフからも急に連絡が届き、「今週に給料を支払う準備をする」と、チーム側からも支払う旨を伝えてきました。

※モンゴル語でFacebookに投稿

ようやく未払い分をゲット

その3日後、チームとスポンサー会社のミーティング結果が僕の元に届きました。

そして、「どうしても今週中に支払いはできないが、翌週の火曜日にお前の口座へ振込みをする」と連絡が来ました。

なので、「あなたが言う通り火曜日まで待つけど、もし支払わなかった場合はFacebookにまた投稿するけど大丈夫?」と問いかけましたが、

「大丈夫だ。」

と返事が来たので、翌週の火曜日を待ちました。

 

そして、火曜日を迎えるとチーム側から振込用紙の写真が送られてきました。

自分の口座を確認すると、確かに未払いだった分の給料が振り込まれていました。

また、モンゴル人のチームメートにも確認したところ、「全員給料を受け取ったよ」と連絡を受けました。

※チームが送金を行った領収書が届いた

時間はかかりましたが、シーズンが終了した約2ヵ月後の12月に、無事当初の契約通りの給料全額を受け取ることができました。

 

まとめ

以上が、自分の身に起きた給料未払いの話しです。

海外でサッカーをしていて、このようなことが起きるのは覚悟の上でプレーしていますが、いざ当事者になると色々と辛いです。

また、自らアクションを起こさなければならないことが多く、精神的にもかなり消耗します。

とても厳しい期間でした。

 

ただ1つ言えることは、自分はまだまだその程度の選手だということ。

極端な話し、もし自分がメッシぐらい結果を残せる選手なら、未払いが起きるようなチーム、リーグに所属していないはずです。

サッカー以外の収入(スポンサー収入など)も多額にあるだろうし、チームも選びたい放題できるぐらいのオファーが来るはずです。

1人の選手として、その事実はしっかり受け入れる必要があると考えています。

また、支払いの期間は守られませんでしたが、最終的には約束通り給料を支払ってくれたチームには感謝します。

色々と嫌な事も言いましたが、僕はFCウランバートルのことが好きだし、これからも好きでい続けると思います。

海外で3シーズンもお世話になるようなチームは、この先の自分のサッカーキャリアで存在するとは限りません。

また、僕がはじめて海外でプレーしたチームであり、自分にとってはこの先も特別なチームです。

その気持ちに変わりはありません。

そして、今回の件では本当に多くの方に助けて頂きました。

モンゴル現地で相談させて頂いた方、日本で相談させて頂いた方、オンラインで相談させて頂いた方、多くのシェアをしてくれたモンゴルの方々…

本当に感謝の気持ちで一杯です。

ありがとうございました。

 

海外サッカーで給料未払いの際に取るべき手段

最後に、海外サッカーで給料未払いの際に取るべき手段をまとめます。

①チームとの話し合い

②スポンサー会社との話し合い

③国やリーグのサッカー協会へ相談・提訴

④FIFAへの相談・提訴

⑤裁判

という順序を辿るのが、やるべきことでしょう。

 

ちなみに、自分が今回行った”SNSへの投稿”は、強くオススメはしません。

理由は…

・人間関係を壊してしまう可能性がある

・その選手にとってマイナスに作用してしまう可能性がある

・良くも悪くも注目を浴びてしまう

というリスクも抱えています。

例えば、SNSを利用して未払いを訴えた際に、他のチームから「大津は何か問題があればすぐにSNSに書き込むから、うちのチームでは取るのを辞めよう」と思われる可能性も多いにあります。

そう思われてしまうと、他のチームへ移籍できたかもしれないのに、SNSを利用したことで自らチャンスを潰すリスクも考えられます。

これはほんの一例ですが、他にも多くのリスクがあると考えられます。

たまたま今回の僕のケースでは、SNSという手段が有効になりそうだったことと、自分も含めて困っているチームメートを助けたかったので、自分が大きなリスクを背負ってSNSを利用しました。

このように、給料の未払いが起きている背景がそのチームや選手によって全然違うので、その時々で一番ベストな判断を下す必要があります。

 

海外サッカー(特に発展途上中の国やリーグ)では、給料未払いや不当解雇など、様々な問題が起きています。

そのような問題に巻き込まれないようにするために、選手自身が正しい知識を持っていること。

また、選手自身がステップアップして、問題が起きるようなレベルのチームではないチームに自分が所属すること。

これらが必要だと僕は考えます。

 

僕と同じように何か困っていることがある選手は、相談には乗ることはできるので、お気軽にお問い合わせからご連絡下さい。

大津一貴

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